ー センスアップアカデミー ー

ジャズ歌手

ジャズ歌手 うしじま あおい

ジャズ歌手 うしじま あおい

ジャズ歌手。東京での15年の活動を経て2001年より郷里の福岡に拠点を移す。ジャズ、ポップス、童謡唱歌など幅広いレパートリーを持ち、施設の慰問やボランティア活動も行っている。また講師としても活躍している。

ハリケーン・カトリーナから2年 その2
映画『ニューオリンズ』と天才“サッチモ”

前回に続き、ニューオリンズのお話です。 映画『ニューオリンズ』は、至極単純なストーリー。でも、この映画が素晴らしいのは、史実に基づいて作られ、何よりジャズの巨匠たち~~ビリー・ホリデイ、ウディ・ハーマン、そして“サッチモ”ルイ・アームストロングらの演奏が満載だということです。メイド役のビリー以外は実名で登場し、ラグタイム、ブルース、ディキシーランド等彼らの音楽をきかせてくれます。

舞台はニューオリンズの歓楽街ストーリーヴィルにある、“ベイスンストリートの王様”ニックの店。賭博場でもあり、またサッチモ達が生演奏を聴かせる店でもありました。そこへクラシック歌手であるミラリーがやってくるところから物語は始まります。黒人達にとって人種差別との戦いであったアメリカの歴史の中で、クレオールと呼ばれる有産階級の黒人が存在し、白人クレオールとの実質的な差別がなかったニューオリンズであっても、当時ジャズはまだ白人達に認められていませんでした。
客として度々店に現れる指揮者ファーバーに、ニックは言います。
「ラグタイムは地下だけで演奏するものだと?」
「地下には閉じ込められん、ウィルスのようにすぐ広がるよ。ウィルスと違うのは、気分がよくなることだ。」

ファーバーと同じく、彼らの音楽に魅せられたミラリーは、自らコンサートで、フェイクまじりに「Do you know what it means to Miss New Orleans」を歌います。客の半分は立ち去り、半分は残って拍手喝采。
やがてストーリーヴィルが閉鎖され、ミュージシャン達はシカゴへ移る事を余儀なくされます。事実、サッチモは1922年にシカゴへ行きます。
彼の音楽スタイルはやがて白人達にも影響し、アレンジやソロの概念を一変させ、スキャット唱法によるジャズボーカルを確立しました。その後もバーブラ・ストライサンドと共演しミリオンヒットを生んだ映画『ハロードーリー』、60歳を過ぎた彼のために書かれ、ヨーロッパでも大ヒットとなった名曲「What a wonderful world」は、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『グッドモーニング・ベトナム』にも使われました。

彼の影響を受けたミュージシャンは、前出のビリー・ホリデイやマイルス・デイビス等数限りなくいることでしょう。ちなみに、私自身もジャズを初めて聴いたのはサッチモのレコードでした・・・。
次回はビリー・ホリデイ。くちなしの花を髪にあしらい歌う、最も厳しい人種差別の時代を生き抜き、44歳の波乱の人生を閉じた、「ジャズ史上最高の歌手」。お楽しみに。

うしじまあおいホームページ


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