Vol.7 裁判員制度
今年の5月21日に裁判員制度が始まります。
その日を間近に、法曹界でも賛否両論。
国民にとっては、まだ他人事?
毎年16億円を費やして広報に努めたものの、
裁くことへの抵抗感からか、国民の関心はあまり高くないようです。
国民の司法参加によって裁判が身近に、スピーディに。
何の罪もない人がある日突然、理不尽な犯罪の被害者に…残念ながら近年は、そんな事件が珍しくありません。 裁判所が下した判決が妥当なものか否かと、家庭や職場で議論を交わした経験がある人も多いことでしょう。
ところが今後は私たち自身が裁く側に立つことになりました。それが「裁判員制度」。国民から選ばれた裁判員と裁判官が、一緒に刑事裁判に参加して被告人の有罪・無罪と有罪の場合の刑の内容を決める制度です。昨年末には選挙人名簿からくじで選ばれた人へ、候補者名簿に名前が載ったことの通知と、各人の事情を尋ねる調査表が郵送されています。
では、なぜ裁判員制度が導入されることになったのでしょう。最高裁判所のホームページでは、その目的を「より国民の理解しやすい裁判の実現」とし、制度の導入によって期待されることとして、「裁判の進め方やその内容に国民の視点、感覚が反映されていくことになる結果、裁判全体に対する国民の理解が深まり、司法がより身近なものとして信頼も一層高まること」と説明しています。
また、制度の導入後は、検察官によって起訴された後の流れが変わり、法廷での審理を始める前に裁判官・検察官・弁護人の三者でポイントを絞る「公判前整理手続き」が行われるため、裁判員に負担がかからず裁判がスピーディになるともいわれています。
国民の8割近くが参加に難色。問題を指摘する声も
こう聞くと良いことばかりのようですが、実は様々な問題点を指摘する声も少なくないのが現状です。専門家の間では、「理由無く呼び出しに応じなければ10万円以下の罰金が科せられる出頭義務によって仕事に不利益が生じる可能性がある」「裁判官でも判決をためらう死刑判断さえあり得る重大な刑事事件を対象とするのは裁判員の精神的負担が大き過ぎる」といった意見の他、法廷での審理が短縮されることによる誤判の危険性や、証人が無遠慮な裁判員によって興味本位の尋問にさらされる恐れなども懸念されています。
その一方、2006年に内閣府が行った裁判員制度に関する特別世論調査では、参加を望まない人が8割近くを占めました。この数字には自分の判断で被告人を裁くことへの抵抗感が色濃く浮かび上がっています。また、出版業界の思惑とは裏腹に、裁判員制度をテーマにした書籍の売り上げが伸び悩んでいる現状は、この制度をまだどこか他人事と感じている人が多いことを示唆しているともいえるでしょう。
こうした中、東京地裁によって一度は「裁判員裁判のモデル」と位置づけられたバラバラ殺人事件の公判が、去る1月に行われました。その際、傍聴人にまでショッキングな映像が示されたことから、一般国民がどの程度の証拠に耐えられるかを推し量ったとの見方もあり、裁判員がPTSD(心的外傷性ストレス障害)になる可能性が指摘されています。
福岡県民が裁判員になるのは約3500人に一人という確率。法務省では「一生に一度のチャンス!」と広報に努めているようですが、あなたはどう思われますか?

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