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La PORTE Dream Report
Vol.1 一緒に“補助犬”を育てましょう!

“補助犬”をご存じだろうか?
身体が不自由な方の日常生活をサポートする犬のことだ。
補助犬には、盲導犬、聴導犬、介助犬がおり、いろいろと高度な訓練を受けている。
今回は、補助犬養成施設「IDJ」の活動を通じて、この補助犬育成の現状を紹介していく。

人間の介助・補助を担う”補助犬“たち
盲導犬
目の不自由な方をサポートする犬だ。英語で「Guide Dog」。1891年、オーストリアの神父が、視覚障害者の歩行を犬にサポートさせることを思いついたのが始まり。その後、ドイツが第一次世界大戦で視覚を失った人のために盲導犬の育成を推進。これをきっかけに、ヨーロッパ各地やアメリカなどに徐々に広まった。盲導犬が初めて日本を訪れたのは、昭和13年のこと。昭和32年に、ようやく「国産第一号」の盲導犬が誕生した。現在、北海道、宮城、栃木、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の10か所で盲導犬育成事業が行なわれており、徐々に供給が進められている。

聴導犬
聴覚障害者や高齢者などのパートナーの耳の代わりとなって音を聞き、それを知らせる犬だ。主人の名前を呼ぶ声、ノックやインターホン、FAXの受信音、やかん、目覚まし時計、クラクション、自転車のベルなど、さまざまな音がある。その中からパートナーが必要とする音を聞き分け、知らせる訓練をする。もちろん、異常音を危険と判断して知らせるのも大切な役割だ。
1975年にアメリカで生まれ、英語で「Hearing Dog」と呼ばれている。日本でも1981年から育成が始まっているが、まだ育成機関も、訓練を終えて活動している聴導犬も少ないのが実情だ。

介助犬
障害者の方には、事故や病気で手足が自由に動かせない方がいらっしゃいます。そんな方の不自由な手や足の代わりを務めるのが介助犬の仕事だ。落ちたものを拾ったり、物を運んだり、衣服着脱や体位変更を手伝ったりするほか、緊急時には救助要請もする。しかも、障害のある部分や障害の程度、住環境、仕事環境などは使用者によって異なるため、より幅広く、繊細な対応をし、臨機応変な判断力を備えることが求められるのである。
介助犬は、1975年ごろにアメリカで考案され、90年代初頭に日本に伝わった。国内での介助犬育成は、1995年にスタートし、2002年に身体障害者補助犬法が施行され、本格的な育成が開始されました。

補助犬とは
補助犬は、身体にハンディキャップをかかえる方々(パートナー)の日常生活をサポートする犬だ。犬種や、それぞれの性格、行動傾向などから適性を厳しく審査され、使用者を補助するために特別なトレーニングを積む。盲導犬、聴導犬、介助犬も、すべて補助犬である。
補助犬の存在は、パートナーに左図のような効果をもたらす。
補助犬のサポートは、日常生活を楽にするだけでなく、精神的に大きな支えともなる。生活が安定することで人生やリハビリに前向きに立ち向かえるようになり、社会参加の意欲や自信も湧いてくるのだ。
2002年10月1日、「身体障害者補助犬法」が施行された。これにより盲導犬だけでなく、すべての補助犬が、認可を受ければパートナーと共に交通機関を利用し、公共の場に立ち入れることになったのだ。

九州発の介助犬育成機関IDJの成り立ち
2008年9月1日現在、国内で登録されている盲導犬は996頭、介助犬43頭、聴導犬18頭のみ。使用希望者数に比べて圧倒的に少なく、慢性的供給不足が続いている。まだ認知度の低い介助犬や聴導犬は特に少なく、養成機関もほとんどない。そこで2006年11月、厚生労働省の認証を受けて、NPO法人「IDJ(インディペンデンス・ドッグス・ジャパン)」が発足した。九州では初めての、介助犬とセラピー犬※の育成・訓練・貸与機関だ。スタッフは、桜井昭生・恭子ご夫妻と、今田晶子さんの3人。全員、元福岡盲導犬協会の職員である。今回は、理事長を務める桜井恭子さんにお話をうかがった。
「きっかけは、ずっと父の介護をしてくれていた妹が、父が他界した直後に脳溢血で倒れたことでした。まだ40歳と若いのに、まひが残って、介助犬が必要になってしまったのです。それで2005年2月から1年半かけて少しずつ準備を進め、自宅を使って立ち上げました」

現在、IDJが飼育・訓練している介助犬は、ほとんどがラブラドール・レトリーバーだ。頭が良く、人なつこい犬種だが、大型なので飼育は大変だ。特に介助犬は、左の写真のように、使用者に応じた細やかな訓練が必要なため、長い訓練期間と莫大な経費がかかる。育成費は1頭約300万円。認定を得れば補助金が受けられるが、それは訓練が終わった後のこと。かなり先の話である。

良い補助犬を育てるためのパピーレイザー
2008年9月現在、IDJには訓練中の介助犬が5頭、繁殖犬が3頭いる。補助犬は避妊手術をするので、繁殖のための犬も必要なのだ。生まれた子犬は、ボランティアの育ての親(パピーレイザー)に1年ほど預ける。ちゃんと犬が飼える環境にある方なら、誰でも可能だ。
「まずはたっぷりと愛情を注いでいただくことで、犬は人が好きになります。補助犬にとって、それがとても重要なことなんです」
愛情をもって付き合えば、お互いの存在価値を認め、感謝し、支え合うことにつながる。そうして身体が不自由な人と、そのサポートをする犬にとどまらず、多くの人と犬の間に、実りある共生を増やしていきたい。それがIDJの願いだ。





介助犬の前にそびえる認定制度の高い壁
使用者と介助犬の「合同訓練」が終わると、いよいよ認定申請。合格すれば、介助犬と使用者は晴れてパートナーとして厚生労働省認定の介助犬として認められる。公共交通機関や公共施設に出入りする資格が与えられ、補助金も受けられるようになるのだ。しかし、介助犬認定機関は兵庫県以西にはない。認定試験は、身体が不自由な使用者には大変な負担だし、受験料も15万円と高額だ。しかも、介助犬の訓練状況だけでなく、使用者が外で働いているか、自分で犬の面倒が見られるか、などまでチェックされたあげく、本当に介助犬が必要な人ほど不合格になってしまいがちだという。

「今後、介助犬の認知度が高まり、実際の使用者数や使用希望者数、認定数が増えていけば、徐々により良いシステムが確立されていくはず。私たちも1日も早く、1頭でも多く介助犬を世に送り出して障害者の方に積極的な社会参加や自立への役割を果たせるようになりたいと願っています。そしていつか、認定機関としての役割も果たせるようになりたいと思っています」

補助犬(介助犬)を応援してください
IDJの訓練犬は、時折近くの高齢者施設や医療機関を訪れ、セラピー犬※として、施設利用者や患者の心のケアを行なっている。
「介助犬やセラピー犬に会いたいという希望があれば、どこでもうかがいます。先日は、学校で介助犬の啓発活動をしました。人も犬も、ふれあい、愛情を受けることで成長し、よりやさしくなるのです」

現在、福岡ECOコミュニケーション専門学校やパピーサポート熊本など、IDJの趣旨に賛同する仲間が徐々に増えている。ボランティアで介助犬育成や、イベントを通じた啓蒙活動を手伝っているのだ。
「今、福岡、佐賀、宮崎で、補助犬を待っている方がいらっしゃいます。まずはその方たちに一日も早く、訓練を終えた補助犬を引き合わせたいですね。また、介助犬希望者も募集しています。介助犬の需要が増えれば、公的支援も大きく変わってくるはずですから。みなさんもどんどん興味を持って、介助犬がたくさん育つよう応援してください」
高齢になれば身体は動かなくなるし、いつ事故や病気で身体の自由を奪われるかもしれない。介助犬の重要性を認識して、自分なりのやり方で応援していきたいものである。

※セラピー犬
触れ合いを通じて病気やケガ、または精神的な痛手を受けた人の不安を減らし、気力を高めて心と体を癒す、高度な訓練を受けた犬のこと


厚生労働省認証
特定非営利活動法人(NPO法人)第二種 福祉事業
インディペンデンス・ドッグス・ジャパン
福岡県糸島郡志摩町井田原76-20 Tel: 092-327-0364

IDJは、スタッフ全員が介助犬セラピー犬訓練士。ワンちゃん教育のエキスパートだ。そこで介助犬(補助犬)の訓練・育成だけでなく、「犬のしつけ教室」で、一般のペット訓練も行なっている。一緒に犬の様子を確かめながら、飼い主にしつけ方を指導するスタイルで、必要に応じて訪問トレーニングも行なう。
IDJにとって「しつけ教室」は、人間と犬とのより良い関係づくりの1つであり、介助犬育成の資金づくり活動の一環でもある。ぜひ利用して、犬とうまくコミュニケーションをとり、共に気持よく暮らすコツを学んでみてはいかが?



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