九雅楽師
雅楽師 小嶺 剛 (こみね ごう)
福岡県太宰府市出身。神道の家系に生まれる。幼少より横笛に親しみ、15歳より奈良で雅楽を学ぶ。大学時代に、東大寺・唐招提寺・薬師寺ほかヨーロッパ5カ国で海外公演を経験。
2004年1月より、寺社仏閣を背景としない雅楽会 大宰府連雅会を創設。以後、九州国立博物館や県知事公舎の晩餐会、挙式演奏などで活躍。現在、県内6ヶ所で雅楽教室を開催。
西安雅楽演奏旅行
9月、母校の大学の雅楽部に付き添い、中国西安公演に同行させていただきました。 ご存知のとおり西安は、唐の時代に長安という都があった場所です。遣唐使では、何ヶ月もかけて必死の思いで訪問していた場所に、今は飛行機でたった4時間で行くことができます。
遣唐使では、約50%の確率でしか長安まで辿り着けなかったというから、さらに驚きです。空海や最澄などが、博多湾から夢を追いかけて渡航した熱い時代。その頃の、福岡はどんな感じだったのでしょう。今、福岡市博物館では「鴻臚館とその時代」展が開催されています。鴻臚館は、昔の迎賓館です。九州でしか発見されていない貴重な鴻臚館跡。ぜひ行ってみて下さいね。
さて、その福岡と交流の深かった唐の長安に行けるのですから胸が高鳴りました。唐の長安は、894年に菅原道真公によって廃止されます。当時の日本は、もう既に独自の文化が育まれており唐に学ぶことは何もない、という判断だったとか。もう一つの説では遣唐大使に任命された道真公が単に行きたくなかったからとか^^
いずれにせよ、廃止の後間もなく唐が滅亡していますので賢明なご判断だったといえます。中国の歴史は、前に栄えた文化や民族をを根こそぎ絶やしてしまう特徴があります。その時に雅楽器や譜面など全て燃やされてしまい中国で雅楽は無くなってしまいました。ですから、私たち日本に残っている雅楽というのは世界最古のオーケストラ形式の音楽であると共に、約1400年続いてきた誇りある音楽なのです。
今年は、日中国交正常化35周年。西安城の中で行われた交流イベントには、日本からタケカワユキヒデさんも参加されました。その他、中国の伝統舞踊や歌手などが出演し華やかな舞台になりました。母校の大学生たちは、日本の天皇陛下が即位された時に舞われて来た貴重な「太平楽」という舞を披露しました。
その後、西安音楽学院の学生たちとも交歓演奏会をしましたが、学生たちは初めて聴く和の調にみな大興奮。演奏終了後には雅楽についての質問の嵐でした。「このような音楽がかつての中国で流れていたなんて感動しました。ぜひ日本で雅楽を習いたいです!」嬉しいですね!中国の学生たちの奏でる、中国二胡や琵琶などの演奏も素晴らしく双方に刺激たっぷりの文化交流の時間になりました。 来週、皇居へ宮内庁楽部の演奏会を初めて見に行きます。演奏会場は、昔、「大奥」があった場所で今では楽部のお稽古場となっております。最前列には、天皇皇后両陛下もお座りになっていらっしゃり、雅な時間を共有できる喜びを味わいます。
皇室の歩みと共に、続いてきた雅楽という世界でも稀有な音楽。 とにかく好きで好きで仕方がありません。遠く中国の方々にもこの雅楽を伝えるためにHPに中国語版・英語版を設けることにしました。 世界中の方々に、日本という国の素晴らしさを伝えることが私に与えられた使命でしょう。 先が楽しみでなりません。




